【児童書】『らいちょう ころころ 立山室堂のライチョウ親子』戸塚学著
[レビュアー] 藤井克郎
■生態を楽しんで学習できる
童話のような書名だが、ころころとしたかわいいライチョウのカラフルな写真がいっぱい詰まっている。撮影場所は北アルプスの立山室堂(むろどう)。まだ真っ白な冬羽の春先に始まって、5月には背中が焦げ茶の夏羽に変わり、やがて子育ての季節を迎える。やっぱりころころとかわいいヒナも、10月を過ぎると親鳥と変わらぬ大きさとなり、厳しい冬に入っていく。そんな四季を通じての変化が楽しめる。
著者は野鳥を中心に撮影している写真家で、立山には10年ほど通っているという。夏には一般の観光客も手軽に観察できるライチョウだが、真冬はなかなか目にすることができない。子育ての姿などもアップでとらえており、絶滅の危機に瀕(ひん)しているライチョウの生態について親子で話しながら学習できる一冊にもなっている。
編集を担当した文一総合出版の志水謙祐さんは「荷物にならないよう、紙質も軽いものを選んだ。立山観光はこれからいい季節になるので、ぜひ本を見ながら楽しんでは」と携行の勧めを説いていた。(文一総合出版・1200円+税)
藤井克郎