『世界のアニマルシェルターは、 犬や猫を生かす場所だった。』
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【聞きたい。】『世界のアニマルシェルターは、犬や猫を生かす場所だった。』
[文] 産経新聞社
■動物の問題は社会で考えていく
米オレゴン州のロースクール(法科大学院)に通っていた2013年の夏休みに、スペイン・バルセロナにあるアニマルシェルター(動物保護施設)を訪ねたことが、本を書くきっかけになった。
「高齢の犬の受け皿になっているのに、ここの犬はみんな元気で笑っているんです。どうにかしてこの魅力を伝えられないかなと思いました」
学生の企画力を競う「出版甲子園」に応募したところ、見事にグランプリを獲得。その後に訪ねた施設も含め、8カ国25カ所の訪問記を、動物法を学ぶ学生の視点でしたためた。
本を読んで驚くのは、ドイツやスペインといった動物保護の先進国では、犬や猫はもちろん、豚や鶏などの畜産動物に、サーカスに使われていたチンパンジーと、あらゆる動物を保護していることだ。ゾウやサイといった野生動物の保護に力を入れているケニアの実態も報告している。
「ケニアでは、飢えに苦しんでいる人も多い中、大統領が将来のことを考えたら動物を守るべきだと決断して、価値の高い象牙を焼却したりしている。でも一方で、日本では一定の生活水準が保たれているのに、何も知らないで象牙を買っている人がいる。これは伝えたいなと思いましたね」
日本でも前向きに取り組んでいる例を取り上げているが、犬猫に関しては保護活動が急速に広がっているものの、畜産動物などペット以外の動物に対する考えとのギャップは、まだまだ大きいままだという。
「動物法をやっているというと、ああ動物好きなんだね、で済まされてしまうが、動物の問題は環境問題などあらゆる社会問題とつながっている。社会で考えていくものだという意識がもう少し高まれば、いろいろと進んでいくのかなと思いますね」と、さらなる研究への決意を口にした。(ダイヤモンド社・1600円+税)
藤井克郎
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【プロフィル】本庄萌
ほんじょう・もえ 昭和62年生まれ。生後10カ月で移り住んだ香港のほか、チェコ、英国など国内外を転々として育つ。京都大学法学部卒業後、米国のロースクールを経て、現在は一橋大学大学院に在学中。