SF史上最も有名なヒーローが設定はオリジナルのままにリブートしてお目見え

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  • キャプテン・フューチャー最初の事件
  • 銀河パトロール隊
  • 007/カジノ・ロワイヤル

書籍情報:openBD

SF史上最も有名なヒーローが設定はオリジナルのままにリブートしてお目見え

[レビュアー] 大森望(翻訳家・評論家)

 キャプテン・フューチャーと言えば、SF小説史上もっとも有名なヒーローのひとり。エドモンド・ハミルトンの手になる原作シリーズ(1940~51年)は、日本でも大人気を博し、NHKでTVアニメ化。いま再放送中の「未来少年コナン」の後番組として、78年から1年余にわたって放送されたので、ご記憶の読者も多いだろう。

 このクラシックなSF冒険小説をぐっと現代的にリブートしたのが、数々の賞に輝く現役バリバリの実力派SF作家アレン・スティール『キャプテン・フューチャー最初の事件』。まだ初々しい紅顔のカーティス・ニュートンが、3人の仲間(〈生きている脳〉サイモン・ライト、チタン製ロボットのグラッグ、合成アンドロイドのオットー)と冒険の旅に出て、惑星警察機構のジョオン・ランドールやエズラ・ガーニーと巡り会い、キャプテン・フューチャー(およびフューチャーメン)として一本立ちするまでがテンポよく描かれる。キャラクターや基本設定はオリジナルのままだが、ディテールや背景は大幅にアップデート。VHSの映像が8Kになったくらいに解像度が上がり、21世紀型のモダンスペースオペラに変貌している。野田昌宏訳の原典(創元SF文庫ほか)が品切なのは残念だが、この《新キャプテン・フューチャー》シリーズには続刊予定もあるようなので、新たなファンが増えることに期待したい。

 E・E・スミス『銀河パトロール隊』(創元SF文庫)は、同じく日本でアニメ化された古典的スペースオペラ《レンズマン》の第1作。小隅黎訳の新版は電子化されていて、この巻はkindle unlimitedでも読める。

 一方、スパイ小説史上もっとも有名なヒーローと言えば、もちろん、ジェームズ・ボンド。その記念すべき初登場作イアン・フレミング『007/カジノ・ロワイヤル』が、創元推理文庫創刊60周年記念“名作ミステリ新訳プロジェクト”の一環として、白石朗の新訳で甦った。007の任務は、標的にバカラで勝負を挑み、破産させること……。拷問シーンが凄絶です。

新潮社 週刊新潮
2020年6月4日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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