【聞きたい。】門間雄介さん『細野晴臣と彼らの時代』

インタビュー

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細野晴臣と彼らの時代

『細野晴臣と彼らの時代』

著者
門間 雄介 [著]
出版社
文藝春秋
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784163912073
発売日
2020/12/17
価格
2,420円(税込)

書籍情報:openBD

【聞きたい。】門間雄介さん『細野晴臣と彼らの時代』

[文] 桑原聡(産経新聞社 文化部編集委員)

 ■「子供の砂場遊び」の軌跡描く


門間雄介さん

 出来上がった自分の評伝を読んだ細野晴臣が最初に発した言葉は「疲れた」だった。門間雄介さんは、細野にインタビューするだけではなく、これまで活字になった関係者のコメントや音楽家(松本隆、鈴木茂、坂本龍一、高橋幸宏、林立夫、松任谷正隆、矢野顕子、コシミハル、小山田圭吾、星野源…)への聞き取りを交えながら、昨年音楽活動50周年を迎えた細野の軌跡を複眼的に描き出してゆく。同時に浮かび上がってくるのは、日本のポピュラー音楽の変革の中心には必ず細野がいて、彼の音楽性と人間性に引き付けられた音楽家たちが共同作業によって変革を成し遂げていったということだ。

 「回顧的なものにはしたくなかった。目指したのは現在進行形の評伝でした」と門間さん。細野に評伝を書きたいと申し出て「うん、いいよ」との快諾をもらったのが2012年9月。8年もの歳月をかけた。「悔いが残るとすれば、はっぴいえんどの盟友で急死した大瀧詠一さんにインタビューできなかったこと」

 これまで細野はメディアで多くの発言をし、本も出版してきた。門間さんは「果たして新しい発見があるのだろうか」という不安を抱えながら出発した。しかし、細野と関係者への取材を並行してやっていくなかで、細野自身もまったく気付いていない多くの事実が次々に明らかになっていった。人間は勝手な思い込みで生きているところがある。それを覆されるのだから、細野の漏らした「疲れた」という言葉は納得できる。

 門間さんは細野の音楽活動を子供の砂場遊びに例える。砂場で細野が熱心に何かを作っていると、見ていた子供たちが「一緒にやろう」と仲間に加わる。作品が完成すると、細野は新たな興味で別の作品を作り始める。ある者は残り、ある者は去る。はっぴいえんど、ティン・パン・アレー、YMOはこうして結成され、解散していったのだ。(文芸春秋・2200円+税)

 桑原聡

   ◇

【プロフィル】門間雄介

 もんま・ゆうすけ 昭和49年、埼玉県生まれ。早稲田大政経学部卒。ぴあやロッキング・オンで雑誌の編集に携わり、「CUT」副編集長をへてフリーに。

産経新聞
2021年1月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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