近藤ようこが再び安吾原作を漫画化

レビュー

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桜の森の満開の下

『桜の森の満開の下』

著者
坂口 安吾 [著]/近藤 ようこ [イラスト]
出版社
岩波書店
ISBN
9784006022945
価格
864円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

近藤ようこが再び安吾原作を漫画化

[レビュアー] 図書新聞

 折口信夫『死者の書』や夏目漱石『夢十夜』などの漫画化でも話題を呼んでいる作者が、『夜長姫と耳男』に続いて再び安吾の原作に挑んだ。「この小説の内容が私にはサッパリわからないのだ」と近藤は言う。事実、要約すれば、桜の森を怖れる山賊と強欲で魔性の女の物語ということになるのだが、それは何の意味も成さない。説明を拒む作品と言うべきか。それだけに漫画化はとても困難な作業だったことは想像に難くない。しかし近藤の筆遣いはどこまでも伸びやかで、原作の奥底に眠っていたポテンシャルを余すところなく引き出すことに成功している。それゆえ読者は、一コマ一コマを熟読玩味することで、自らの想像力がはるかな高みまで飛翔する快感を味わうことになるだろう。(10・17刊、一九四頁・本体八〇〇円・岩波現代文庫)

図書新聞
2017年12月2日号(3329号) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

図書新聞

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