事故物件住みます芸人・松原タニシがいわくつきの部屋を大公開 漫画家・清野とおるが聞いた衝撃の体験とは?

対談・鼎談

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事故物件怪談 恐い間取り2

『事故物件怪談 恐い間取り2』

著者
松原タニシ [著]
出版社
二見書房
ISBN
9784576200972
発売日
2020/07/06
価格
1,100円(税込)

書籍情報:openBD

清野とおる×松原タニシ よくぞお出でくださいました―事故物件飲酒対談―

[文] 新潮社


清野とおるさんと松原タニシさん

映画化もされた『事故物件怪談 恐い間取り』の著者であるピン芸人・松原タニシさんのお部屋に、怪奇スポットでの飲酒を繰り返してきた漫画家の清野とおるさんが突撃! 突っ込みどころ満載の居室で、ビール片手に不可思議なエピソードの数々を語り合った。

我が事故物件をご案内します

清野&タニシ 乾杯。今日はよろしくお願いします。

清野 新刊(『事故物件怪談 恐い間取り2』)読みました。

タニシ ありがとうございます。

清野 その話は後ほどさせていただくとして、まず、お部屋を見せていただけますか。前の住人がどこで亡くなったか、わかっていないんですよね?

タニシ そうなんですよ。オーナーがはっきり言わなくて。

清野 窓枠の色がおかしいですよね。素人の手塗り感がすごい。

タニシ 前の住人がアーティスティックな人だったみたいで。この赤枠の窓はもともと開かないんですけど、よくハトが来るんです。隣のビルとの隙間が狭くて、その隙間にハトが挟まってくる。たまにゴソゴソって音がして、ハトの真っ黒い影が映る。

清野 そのハトは自力で脱出するんですか。

タニシ 自力で脱出していきます。何かの通り道なのか。

清野 冷蔵庫の後ろにも窓がありますね。

タニシ あの下の窓は開きます。最初に開けたとき、ツタみたいのがぴょーんと入ってきてびっくりしました。もう枯れちゃったんですけど。

清野 それから奥の大きな窓、こっちは閉まらない。

タニシ 閉まらなくて、鍵の意味がないんです。空き巣は入ろうと思ったらいつでも入れる。今も閉まってません。


天井の青い染み(ルミノール反応?) ▼サイズの大きな画像はこちら

清野 本に書いてあった、ルミノール反応らしきものって天井のあそこですか。

タニシ そうです。あの青い染みですね。あと壁にも青い染みがあります。首吊り自殺があったと言われていたので、押し入れに差し渡した棒が怪しいなと考えたり。元から付けられていたけど、右端が外れてるんです。あと、その壁の梁みたいなの。

清野 ちょっとずれてる。ここも怪しいですね。

タニシ この高いところにあるフックも結構怪しい。

清野 かなり丈夫そうですね、これ。

タニシ ここが一番首を吊りやすい。入居したばかりの頃、四角いクッションをその下に並べて寝ていたら、めちゃ頭が痛くなって。でも、このクッションで寝たら、どこでも頭痛くなるよな、とも思うんですけどね。あと、天井の染みの下ぐらいからは、ビビビビッという謎の音がしました。

清野 押し入れの上の戸は元からないんですか。

タニシ 元からないです。


ふたりでフックの強度を確かめる ▼サイズの大きな画像はこちら

清野 普通はありますよね。あ、お人形さんがいっぱい、あちこちに。名前もついているんですよね。

タニシ これは菊姫です。上半身と下半身が分かれるようになっていて、体の中に別の人形の頭が入ってました。その頭に体を別につけたものが、孔子です。

清野 (孔子を抱いて)とても表情が豊かですね。怖いけど、怖くないな、この子。

タニシ この人形、すごくいろいろな意思を出すんですよね。それからこれはみゆきですね。

清野 手が妙にリアル(笑)。


(左)菊姫ともう一体 (右)孔子を愛でる清野さん ▼サイズの大きな画像はこちら

タニシ 清野さん、人形、似合いますね。抱く手つきが優しい。

清野 なにせ畏敬の念を持ち合わせていますからね。お、チャッキーいらっしゃいますね。

タニシ こいつだけは何も起こさないし、物です。空っぽです。

清野 まさかの出落ち(笑)。怖いのは見た目だけ。

タニシ 名古屋のラジオのリスナーさんから無理やり渡されたものなんです。


ピエロの絵とボリビアのエケコ人形 ▼サイズの大きな画像はこちら

清野 そしてこれが、必ず戻ってくるピエロの絵ですね。実験的に捨ててみたこと、あります?

タニシ ないですね。でも、ピエロの絵は移動させると、その後が臭くなる。大阪に持って帰って、それを東京に移動させた後にまた大阪戻ったら、部屋がめっちゃ臭くなっていて。

清野 どういった感じの臭いですか。

タニシ 生ごみの臭いですね。あれは不思議でしたね。

清野 もともと持っていたのは女性の芸人さんですね。

タニシ そうです。その人が僕に渡すときに、急にすごい表情で、「絶対に返してな」って言って。

清野 その本人は記憶がないんですよね。


タニシさんにだまされて玄関扉の向こうをのぞこうとする清野さん ▼サイズの大きな画像はこちら

タニシ 記憶ないんです。それが怖かった。あれもむげに扱えないですね。返さなくていいって彼女は言ってるんですけど、あの「絶対に返してな」が強烈で。あとこの家で不思議なのは、玄関の扉ののぞき窓ですかね。ちょっと清野さん、のぞいてもらっていいですか。

清野 外が見えないですね。

タニシ どっきりなんです、これ。のぞき窓と思って見たらのぞけなくて、実は、マグネットという。

清野 本来は玄関の外に付けるべきものじゃないですかね。のぞき窓がありますよって、防犯のために。たいした防犯にはならないと思いますけど(笑)。

タニシ そういうことなんかな。なんで内側に付けてんのやろな。それから、住み始めてからずっと疑問に思っていたことがあって、浴室の戸の脇にかけられた器具が何なんだろうっていう。

清野 この器具、なんか既視感ありますね。毛糸を編むかぎ針みたい。ピュアスティックって書いてありますよ。

タニシ なんや、ピュアスティックって。

清野 純粋な棒(笑)。


ピュアスティックの使い方を浴室で実演 ▼サイズの大きな画像はこちら

タニシ これの使い方がわからなかったとき、浴室の湯沸かし器が何回スイッチ入れてもつかへんってなったことがあって。スイッチ脇の蓋が怪しいなと開けてみたら、電池が入ってて。

清野 単1ですか。

タニシ はい。この単1を取ると奥にもう一つ電池が入っていて、それがどうやっても取れないんですよね。

清野 そこでピュアスティックの出番ですか。

タニシ そう。もしやと思ってピュアスティックを使ったら、面白いように取れたんです。

清野 点と点が線になった。でも、電池の換えなんて、一年に数回ですよね。そのために、こんなピュアスティック掛けまでついている。


固定されないメーターケース(濃い緑色) ▼サイズの大きな画像はこちら

タニシ メーターケースも変で、重いんですけど壁に固定されてないので、つけていると落ちてきて危ない。あとこの襖だけ、アートな張り紙がされています。

清野 元から貼られていたんですか。

タニシ そうです。センスがちょっと、独特なんですよね。鳥男とかモスラの図解とか。

清野 このポスターはゾウが泳いでますね。

タニシ 鼻だけ出している。すいとんの術みたい。


奇抜なポスターや張り紙に圧倒される清野さん ▼サイズの大きな画像はこちら

清野 本当だ。このキリンの写真もサバンナっぽいし、動物に対する特別な執着があったんですかね。それにしても、敢えてポスターを剥がさないタニシさんの神経がすごい。自殺した人が貼ったものかもしれないのに。

タニシ キリンのスタンプが浴室の壁にいっぱい押されてたんですけど、入居時に上から塗られちゃった。塗らないでと言ったのに。

清野 失礼ながら、お邪魔した時は圧迫感というか、妙に萎縮して居心地も悪かったんですけど、今、めちゃくちゃ居心地いいですよ。長居しちゃいたい衝動に駆られています(笑)。

タニシ 先入観だと思いますよ。『東京怪奇酒』の取材でもそうだと思いますけど。

清野 先入観って大きいですね~。

タニシ わかっちゃうと大丈夫になって、怖さがなくなるというか。わからんままやと怖いんですよね。僕はピュアスティックの謎が解けたときに、一気に不可解なものが吹き飛んで、前の住人がどうやって死んだかとかどうでもよくなって、収まるべきところに収まった感じがしました。

撮影=平野光良

新潮社 小説新潮
2020年8月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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