大森望「私が選んだベスト5」 年末年始お薦めガイド2015-16

レビュー

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  • 「だから、生きる。」
  • 潜行
  • プロローグ
  • ハヤカワ文庫SF総解説2000
  • 世界の誕生日

書籍情報:版元ドットコム

大森望「私が選んだベスト5」 年末年始お薦めガイド2015-16

[レビュアー] 大森望(翻訳家・評論家)

 2年前、突然ハロプロにハマり、以来、つんく♂が作った曲ばかり聴いてるんですが、そのつんく♂が書き下ろした『「だから、生きる。」』は、声帯摘出に至るまでの壮絶な闘病記にして人生論。加えて、シャ乱Qメジャーデビュー以後の紆余曲折、モーニング娘。の誕生、妻との出会いと結婚、育児による“人生レボリューション”まで、愉快なつんく♂節で語られる。愛あり怒りあり笑いありノロケあり、サービス満点。

 対する姫乃たま『潜行』は、いまどきのライブアイドルとその周辺の実情をアイドル自身が取材し(ご当人のキャリアも含め)赤裸々に語る、これまたスリリングなノンフィクション。

 円城塔『プロローグ』は、〈文學界〉連載をまとめた著者初の私小説─かと思って読んでいると予想も付かない世界へと導かれる。同時期に〈SFマガジン〉に連載され、ひと足早く単行本化された『エピローグ』とセットで読むとさらに楽しい。

 2015年4月、翻訳SF出版を45年にわたって支えてきたハヤカワ文庫SFが通巻2000番に到達した。『ハヤカワ文庫SF総解説2000』は、その全点の内容を紹介するガイドブック。2000冊のカバーを1ページに100冊ずつ刊行順にすべて掲載した巻頭カラー20ページが圧巻。

 そのハヤカワ文庫SFの11月の新刊、アーシュラ・K・ル・グィン『世界の誕生日』は、02年に出たSF短編集の全訳。《ハイニッシュ・ユニバース》と呼ばれる未来史シリーズ(『闇の左手』や『所有せざる人々』もそこに含まれる)の短編6編など、94年〜02年発表の全8編を収録する。巻末の「失われた楽園」は世代宇宙船もの。最近のル・グィンはすっかりファンタジー作家のイメージだが、ひさしぶりにSF作家の顔を見せてくれる。

新潮社 週刊新潮
2015年12月31日・2016年1月7日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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