『うしろめたさの人類学』
書籍情報:openBD
【小山大樹・札幌本店】
この本をはじめて読んだ時、面白かったのはもちろんですが、何よりも著者の人間性に脱帽しました。エチオピアで感じた些細な「ずれ」や「はみだし」を、卵を温めるように大切に分析し、「つながり」を紡ぎ出す。本書に通底するそんな想いが、この本に他には無い内容と深みを与えているのだと思います。人類学を起動する、新たなマスターピース。
【林下沙代・札幌本店】
もう、ヒーローやヒロインをただ待っているような時代ではない。一人ひとりが世界を自分にたぐりよせ、考え続けるしかないのではないか。からまった糸をときほどいてゆくように、がんじがらめになってしまった私たちの思考を、エチオピアという視点から、少しずつほどいてゆく。読み終えた時に感じたかすかな風のような希望は、あたらしい人文書の書き手の誕生とも、重なるような気がしました。