岡田准一、「図書館戦争」の鬼教官・堂上がはまり役だった3つの理由[ジャニ読みブックガイド第4回]
WAになって踊る皆さん、こんにちは。この連載も4回目、「次はこの人を!」というリクエストもたくさん頂いてます。「この人を」と言われたら「どの作品で?」と悩むのが常。たとえば岡田准一くんの場合、暦を作ったり零戦に乗ったり居合をやったり石油売ったりエベレスト登ったり刑事になったりと、原作小説付きの出演作品はジャニーズトップクラスで多い(全部わかるね?)。
でもね、実はまったく迷わなかったのさ。だって、多くの主演の中でも飛び抜けて岡田くんにピッタリ、ていうか岡田くんしかできない役があったから。それが「図書館戦争」の堂上教官だ。
■V6・岡田准一主演!「図書館戦争」
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- 図書館戦争
- 価格:733円(税込)
原作の有川浩『図書館戦争』(角川文庫)と、それに続くシリーズは《別冊》も含めて全6作。映画版「図書館戦争」(東宝)が2013年に封切られたのを皮切りに、シリーズ各編を下敷きにしたテレビドラマ「図書館戦争 ブック・オブ・メモリーズ」(TBS)と映画第2弾「図書館戦争 THE LAST MISSION」(東宝)が2015年に公開された。
メディア良化法が施行されて検閲がはびこり、本を読む自由・表現の自由が奪われた日本。全国の図書館は武装して、メディア良化隊の検閲から本を守っている。新入隊員の笠原郁はその身体能力を見込まれ、精鋭ぞろいのタスクフォースに配属。鬼教官の堂上篤にしごかれながら、本と表現をめぐる戦いに身を投じる──というのが原作・映画の両方に共通する基本設定だ。
表現が規制され、言葉が狩られ、思想が弾圧されるディストピア。原作では身近な差別用語の問題から「庶民の無関心が表現規制を進める」ことの恐ろしさまで、実にリアルに描かれる。だがポイントは、そんなシビアな背景を綿密に構築しながら、本書はあくまで「爆笑ラブコメ」だということ。それもベタベタに甘い。横隔膜が痒くなるくらいベタ甘。なんせ、あとがきによれば著者のコンセプトは「月9連ドラ風で一発GO!」だったってんだから。
だが、これが面白いのだ。本稿を書くのに、映画とのセリフの違いを確認しようと『図書館戦争』を開いたら、止まらなくなって一気にそのまま全6冊読んでしまった。もう何度も読んでいて、話の先などわかっているのに。それくらいこのシリーズは吸引力がある。テンポのいい会話やドタバタの恋愛模様に笑って、ここぞというところに差し込まれるシリアスな一言に揺さぶられ、知略に唸り、圧倒的なアクション場面に息がはずむ。読み終わったときには爽快ラブに心が温まるとともに、検閲社会への問題意識が核として残る。
■堂上教官は岡田准一以外にいない。
メインのキャラクターはふたり。
タスクフォースの女性隊員、笠原郁。身長170センチ、驚異的な身体能力を誇るが心の中は純情な乙女。
郁の上官、堂上篤。常に冷静沈着、真面目で仏頂面。身長165センチと小柄ながら、戦闘の腕は抜群の鬼教官。
このふたり、最初は仲が悪い(ように見える)。郁は上官である堂上に背後からドロップキックをかましたり条件反射で大外刈りをかけたり。堂上も戦闘力では当然郁の上を行くので黙ってない。そんな関係から次第に変わっていくのが読みどころで、映画では郁を榮倉奈々さんが、そして堂上を岡田くんが演じている。
実はこの配役、まだ映画化の話なんてなかった頃に、雑誌「ダ・ヴィンチ」の「図書館戦争を実写化するなら?」という読者投票でぶっちぎりの1位を獲得したふたりなのだ。映画の佐藤信介監督はそれを知らずにオファーしたというんだから、どれほど適役だったかわかろうというもの。
ちなみに岡田くんはそのアンケートを知っていて、原作ファンのお母様から「やらないの?」と言われていたそうな。その後で話が来て「これはやる運命なんだ、と思いました」と語っている。(「ダ・ヴィンチ」2013年5月号)
なぜ読者は岡田くんを選んだか。思うに、理由は3つある。
第一に、身長。この話は「女の方が高い」という設定で、郁は堂上に向かって「チビ!」だの「ずいぶん背が小さくておられますけど?」だのと悪態をつく。岡田くんの身長で相手が榮倉奈々さんならバランスはピッタリでしょ?
第二に、堂上は格闘・戦闘のプロという設定。格闘技オタク・岡田くんの「それジャニーズに要る?」と訊きたいほどの太い首と、衣装さんの苦労が忍ばれる厚い胸板、そしてカリやジークンドー、修斗のインストラクター資格を持つほどの格闘能力が、もう活きる活きる! 図書隊の制服を着た岡田くんの後ろ姿、見てみ? あの背中の広さと厚さたるや! 体当たり戦士少年オカダがここまで来たかとおばちゃん胸熱よ。
だもんだからアクションシーンに至っては独壇場だ。殺陣がもうマジよアクロバットの域よ。呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンのアクション大魔王よ。なんせ岡田くん、大河ドラマ「軍師官兵衛」では壁を使っての三角飛びをやってみせたくらいの身体能力だからね。官兵衛、あんなこと絶対しなかったと思うけどね。
そして第三に──これは実は、原作を読んでほしいのだ。
■ぜひとも原作を読んでほしい理由
映画「図書館戦争」は原作『図書館戦争』を、そしてドラマと映画二作目はシリーズ2~4作を再構成して作られている。だから当然、使われていないエピソードもたくさんあったし、別の巻のエピソードを混ぜて使う部分もあった。映画を見て少し残念だったのは、笠原・堂上以外の登場人物の活躍とコミカルな会話劇が、かなりカットされていたことだ。
実は原作はラブコメでありディストピア小説であるとともに、登場人物全員の試練と恋と成長を描く群像劇でもある。個性の違う同僚や上司が、それぞれ何に向き合い、それとどう戦ってきたか。そこに他の仲間がどうかかわっていたか。ひとりひとりの名シーンをいちいち紹介したいくらいだ。ドラマでは堂上の同僚・小牧(田中圭)の恋が登場したが、映画はどうしても郁と堂上がメインになるので、群像劇としての多重的な楽しみはぜひ原作を読んでほしい。
そして原作を読むと、映画では仏頂面だった堂上が、実はかなりコミカルな人物であることがわかるはず。郁と同レベルまで降りてきて子どもみたいなケンカしてるし、郁への返しも他人への突っ込みも、いちいち面白いのだ。岡田くんがやんちゃで楽しいのはファンなら知っている。この掛け合いを超ひらパー兄さんがやったらどれほど面白かったかと思うと、カットされてたのはホントに残念だなあ……。
最後に。郁の大事な本が表現規制にひっかかったエピソードが登場する。原作は差別用語とされるその言葉をはっきり出した上で「きちんと読めば、その単語が何かを貶めるために使われた訳ではないことが分かるのに」と郁に言わせている。だが映画では「竜の首を切り落とす場面が残酷だから」に変わっていた。本筋には関係ない些細なことだけど、この映画でそういう改変がなされたのは、とても象徴的な出来事のような気がする。
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2017/07/19
第4回アンケートの受付は終了いたしました。
「伊達邦彦」を演じて欲しいジャニーズには1位が稲垣吾郎さん。2位は香取慎吾さん、3位はKAT-TUNの亀梨和也さん、4位は松本潤さんでした。
アンケートの詳細は下記からご覧頂けます。
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