南沢奈央の読書日記
2019/12/27

ねこデビュー

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撮影:南沢奈央

 なんと、愛猫が雑誌デビューを果たした。
「FLASH」という週刊誌、著名人が自身で撮影した写真とともに愛猫を紹介する“FNASH”(フニャッシュ)という連載コーナーだ。
 実家で2匹の猫を飼い始めてまだ半年ほどだが、猫たちとの思い出やエピソードは十分にある。写真もすでにたくさん撮ってはいたが、雑誌に載ると決まった瞬間、両親はもちろんのこと、わたしも実家にしょっちゅう帰り、写真を撮りまくった。だが、いざその中からベストショットを選ぶとなると、何と大変なことか。だって、全部かわいいんだもの。
 最終的に、絞り切れずに数枚多めに送って、どの写真を使うかは編集の方に選んでもらうことにした。どんな誌面になるかと、胸を高鳴らせて待った。
 そしてついに、今週の火曜が発売だった。すぐにコンビニに買いに行き、ページを開くときのドキドキとワクワク……。
 2匹のツーショット写真が大きく使われていて、さらにそれぞれの性格がよく表れているソロショットが小さく1枚ずつ、掲載されていた。自分の写真が掲載されている雑誌を見るよりも嬉しかった。
 感動を噛み締めつつ、ページを切り取り、ファイルに収めたとき、あぁ親心とはこういう感じなのかと思った。わたしが女優の仕事を始めて、雑誌や新聞などに記事が出るたびに、切り抜いてファイリングしてくれている両親に思いを馳せて、少しうるっときてしまった。

 猫を飼い始めると、自分のうちの猫だけでなく、他の猫も気になり始める。LINEのアイコンを猫にしている人が意外に多いことに気づいたり、インスタグラムでは世界中の猫の写真をエンドレスに見続け、野良猫と会ったら「にゃあ」と声を掛けてしまうようになった。
 いろんな場所のいろんな猫と出会うのは、おもしろい。『ドコノコの本 猫と暮らす』は、まさにいろんな猫たちのいろんな表情が見られるフォトブックだ。
「ドコノコ」とは、「ほぼ日」の犬猫写真アプリだ。ユーザーが犬や猫の写真を投稿し、やり取りができるSNSの楽しみに加え、迷子捜しをサポートするセーフティネットの仕組みを備えている。会員は23万人を超えているという。
 そこに投稿された写真の中から厳選された、かわいいだけではない、猫らしい姿が集められている。宙を飛ぶ猫、箱や籠にちんまり収まっている猫、日向ぼっこしてぼーっとしている猫。はたまた、「君は人なの?」と言いたくなるようなポージングをしている猫、二足歩行している猫、鋭い目線でばっちりカメラを見ている猫、「ちょいワル」な猫。もう、終始笑みがこぼれっぱなしだ。
 写真に添えられている一言コメントを読むと、さらに猫たちのストーリーが見えてくるし、自分も「あるある!」と思えるのが楽しい。「たいていの犬や猫は、お風呂に入ると、別人になっちゃう。どちら様でしたっけ?」というコメント付きの、水に濡れて小さくなっている写真を見て、わたしの姉の猫を思い出した。
 姉の家では、2匹の猫を飼っていて、ふたりとも仲良し。一匹がすごく毛が伸びすぎてしまって、病院に連れて行ったら皮膚病予防のために一旦カットすることを勧められ、ライオンカットにして帰ったのだそう。そしたら、もう一匹の猫さんが別の猫が来たのだと勘違いしたのか、シャーシャーと威嚇されてしまった、という。
 他にもドコノコで人気の猫(と飼い主さん)のインタビューコーナーや、ページの端にさり気なくある猫に関する豆知識も読み甲斐がある。

 わたしがドコノコに投稿するなら、どんな写真だろうと考える。
 やっぱり一番好きなのはトイレをしている姿だ。特に、用を足している時の、恍惚とした表情が堪らなく良い。でもそこはさすがに写真を撮るのは憚れる。用を足しているところをじろじろ見るのも良くないから、見たいけどぐっと堪えている。
 ただ最近、母が、猫が用を足しているところにばったり出くわしちゃうのよ、これで3回目、と困り顔で、でも笑いながら話していた。落ち着いて用を足せるようにと、トイレは室内の隅の目立たないところに設置しているのだが、近くに扉がある。たまにその扉から猫たちが廊下への脱走を図ろうとするから、普段は慎重に開ける。が、部屋に入ろうとして静かに開けたときに、目の前で扉の方に向かって用を足している最中で目が合ってしまい、そのままゆっくり扉を閉めたことがあったらしい。だが最近、たまたま勢いよく入ってしまったときに、トイレをしていて、その時は用が済んだ途端に砂もかけずにダッシュして立ち去ったとか。
 申し訳ないことしちゃったと言いながらも、トイレのへりに前足を上げた状態で器用にするのよ、とまた母が嬉しそうで、猫が来てくれて良かったと思った。
 お正月休みにコタツで猫たちとぬくぬく過ごすのを楽しみに、年末までお仕事がんばります。

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